プライベート・ウォー

STORY

 エール大学を卒業後、UPI通信を経て、英国サンデー・タイムズ紙の特派員として活躍する、アメリカ人ジャーナリスト、メリー・コルヴィン(ロザムンド・パイク)。

 2001年、スリランカ。ジャーナリスト入国禁止を無視し、バンニ地域に乗り込んだ彼女は、シンハラ軍とタミル・イーラム“解放のトラ”との銃撃戦に巻き込まれて被弾。その際、左目の視力を失ってしまう。

 その後、ロンドンに戻ってきた彼女は、優秀外国人記者賞に輝いた「英国プレス賞」受賞式に、印象的な黒い眼帯を付けて現れる。これ以上、彼女を危険な目に遭わせたくないと考える新聞社の上司、ショーン・ライアン(トム・ホランダー)は、彼女を説得するものの、“生きる伝説”となり、戦場記者を天職と考えるメリーには、“防弾ジャケットを脱ぐ”意思はなかった。
 2003年、イラク。共同墓地の手がかりを追っていた彼女はバグダッドで出会ったフリーのカメラマン、ポール・コンロイ(ジェイミー・ドーナン)を雇い、同行させる。そして、12年前にサダム・フセイン政権によって殺害されたクウェート人の遺体を見つけるため、地元の作業員を集め、ブルドーザーを使って、塹壕を掘り起こす。その後、遺体は見つかり、メリーはスクープを手にするものの、悲鳴を上げ、祈り続ける遺族の姿を目の当たりにしたことで、ただならぬ喪失感に襲われる。

 このような最前線での体験は、ロンドンに戻ったメリーにPTSD(心的外傷後ストレス障害)として襲い掛かる。地元の病院で治療を受けることに同意する彼女だったが、入院中でも自分を突き動かしてきた現場に復帰したい思いに駆られていく。そして、世間の人々の関心を世界の紛争地帯に向けたいという彼女の想いは、さらに強まっていった。

 2009年、アフガニスタン。地元市民やアメリカの救援部隊に対するタリバンの攻撃を報じたメリーは、ロンドンに戻り、パーティーで出会った風変わりなビジネスマン、トニー・ショウ(スタンリー・トゥッチ)と出会い、二人は瞬く間に恋に落ちる。

 2011年、リビア。メリーにとって、トニーと平凡な日常を送る人生は、紛争地帯に戻ったときには消え去っていた。その後、国内では反政府デモ“アラブの春”が最高潮に達し、カダフィ政権を崩壊させる勢いとなっていく。一方、仲間のジャーナリストが爆撃で死亡し、メリーは自身の死についても深く考えることになる。深い絶望に立たされながらも、彼女はカダフィ大佐の単独インタビューに成功。だが、精神はさらに蝕まれていくことになる。

 2012年、シリア。過酷な状況で包囲されている28,000人の市民の現状を伝えるため、ポールとともに、ホムス地区に乗り込んでいたメリー。こうして、チャンネル4、BBC、CNNが同時ライブ中継を行うという、彼女の記者人生において、もっとも危険で過酷なレポートが始まった――。